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東京都の太陽光パネル設置義務化に反対派が多い理由

更新日2023.01.13

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2022年12月15日に都議会の本会議において、新築建物を建設する際に太陽光パネルの設置を義務付ける条例が東京都で成立しました。条例として設置を義務化するのは全国で初めてとなります。

ここでは太陽光パネル設置義務化について、なぜ義務化するのか、反対派が多い理由などを説明しています。

Contents

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▼ 太陽光パネル設置義務の背景

太陽光パネルとは?

太陽光を取り込み発電させるためのパネルのこと

太陽光パネルとは?

太陽光パネルは、ソーラーパネルや、太陽電池パネルなどと呼ばれております。

太陽光パネルに使用されているパネルは 1枚単位で使用することができますが、パネルを複数直列に組むことで、電圧を上げて一般家庭の電力がまかなえるように設計されております。

季節や日照条件で発電量が左右され、必ずしもすべての電力が得られるとは言えません。
東京都はこの太陽光パネルをこれからの新築一戸建て住宅に設置義務とすることを条例として成立させました。

義務化する理由

義務化する理由

太陽光パネル設置義務の条例は、都民への周知と準備を進め 2025年4月から施行されます。

太陽光パネル設置を義務化する大きな理由として、2030年に温室効果ガス排出量を2000年と比べて50%削減すること(カーボンハーフ)を目標としていたからだと言われております。他にも太陽光パネルの設置費用が年々安くなっていることも理由のひとつとされております。

条例としては東京都が行いましたが、群馬県や川崎市でも設置の義務化が予定されております。

▼ 設置義務化で困るのは誰?
設置義務化で困るのは誰?

太陽光パネル設置義務化は、住宅メーカーなど大手事業者約50社が対象となっており、施主を対象としたものではありません。

一見すると、負担が大きいのは各事業者ではないかと思われますが、太陽光パネル設置が義務化することで住宅購入にかかる費用が増えてしまうため、施主への負担も大きくなると言われております。

都は設置などの初期費用を軽減するため、補助金制度等を導入することを検討しております。

各事業者からは供給棟数などから算出した発電総量を満たす義務があるだけでなく、工期や材料費などこれまで以上に負担となるため歓迎できない状況と言えます。

▼ 太陽光パネル設置義務条例の問題点

経済問題

経済問題

太陽光パネルのパネル自体の費用は、再エネ賦課金など電気代として国民が負担することになります。都は「建築主は元が取れる」と繰り返しておりますが、電気代高騰に拍車をかけることとなり、さらに格差社会が広がることを懸念する声が上がっております。

また太陽光パネルには半導体が使われております。半導体不足は世界でも問題となっており、供給するための物流費高騰も国民の負担となっております。

人権問題

人権問題

太陽光パネルの生産のほとんどは中国製が占めております。新彊ウイグル自治区での人権弾圧、強制労働との関係が世界的に指摘されており、米国や欧州では中国産パネルの使用を禁止する動きがあります。

都は太陽光パネル設置義務化の一方で、各事業者は人権を尊重するようにと発言されており、事業者は難しい立場に立たされております。

災害対策問題

災害対策問題

災害時の大規模水害は、都でも想定をしておりますが、太陽光パネルが設置された建物が水害に見舞われ、パネルが水没した場合に感電する危険性は想定されていないと専門家が指摘しております。

また災害に限らず、老朽化したパネル破棄に関しても再エネの廃棄物問題が想定されていないと指摘されております。

▼ 太陽光パネル設置義務に反対派が多い理由
太陽光パネル設置義務に反対派が多い理由

クリーンエネルギーとして太陽光パネルで自ら発電することは、脱炭素化に有効な手段であると言えます。しかし太陽光パネルは永久的に使えるものではありません。

パネルの寿命は20年~30年と言われており、実績データはないためパネルの寿命はあくまで推測になります。
パネルの発電量は年々劣化しており、維持するための費用は決して安いものではありません。

またパネル設置のための費用を国民の電気代として負担することから、多くの方が設置義務化に反対しております。

事業者は太陽光パネル設置を標準業務としていないところもあります。太陽光パネル設置義務化が施行されると経費や人件費の増加が生じてしまうことから、反対している事業者もいるようです。

▼ 条例の改廃請求
条例の改廃請求

条例施行まで2年以上ありますが、施行前に太陽光パネル設置義務化を止めさせること自体は可能です。

施行までに有権者の50分の1以上の署名があれば条例の制定改廃を知事に請求できますが、すべてを白紙にすることは容易ではありません。

また有権者の署名は改廃だけでなく新たな条例の制定も可能です。

▼ まとめ
まとめ

太陽光パネル設置は都市圏の温暖化対策として世界的な流れとなっており、環境問題を考える上で必要な手段と言えます。

今後、国内外の大都市圏では太陽光の設置義務化が一般的な政策として広がると見られており、蓄電池も含めた太陽光システムを進めていくことになると言われております。

長期的に見て経済メリットがないとは言い切れませんが、施工事業者の課せられた義務と国民の電気代負担による格差社会拡大が今後の課題と言えそうです。

参考:
【Lnote(エルノート) Presented by 東急リバブル】太陽光パネルが義務化される?設置するメリットや注意点、コストについて解説
【東京新聞 TOKYO Web】新築一戸建て住宅に太陽光パネル設置義務化
【@DIME】本当に必要?東京都が太陽光パネルの設置を義務化した理由
【ITmedia ビジネスオンライン】東京都の太陽光パネル設置義務条例 3つの問題がある
【国際環境NGOグリーンピース】太陽光パネル設置義務化賛成?反対?ハウスメーカーに聞いてみた

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